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「南海トラフ地震とハザードマップについて」

2020/04/27 カテゴリー: 売買 賃貸 その他

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下記記事のPDFファイル
(容量:341KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

 博士! このところ、新型ウイルスのことで、さまざまな影響がいろいろなところに及んでいるのだけれども、約2年前の平成30年6月18日に発生した大阪府北部地震のことを考えてみても、今後は地震に対する備えを忘れてはいけないな・・・と思ってしまうよ。

 

しかし、みんなが忘れかけた頃っていうのがいちばん怖いよね。とにかくどんな時でも備えて知識をつけて皆様に伝えていって欲しいんだよ。

 

えっ?
そういえば博士、以前も地震が起きた時には毎日のように地震の話題だったし、南海トラフ地震の怖さやシミュレーションなども政府から出たりしていたよね。

 

 南海トラフ地震への対策については、この地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とした「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」に基づき、被害想定の結果を踏まえて、南海トラフ地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため地震防災対策を推進する必要がある地域が「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定され、国、地方公共団体、関係事業者等の各主体がそれぞれの立場で建物の耐震化やハザードマップの整備等のハード・ソフト両面からの総合的な地震防災対策を推進することとされているんだよ。

 

 

南海トラフ地震防災対策推進地域

(緑色に塗られた領域、赤線で囲まれた領域は南海トラフ巨大地震の想定震源域)

 

参考 南海トラフ地震対策について(内閣府防災ホームページ)

 

 南海トラフ地震による大阪市内の影響などはどうなのかな?

 

 大阪市では、淀川、神崎川、大和川、寝屋川といった大きな河川と海に囲まれており、市街地の9割までが平坦な低地で自然排水が困難なため、大雨、津波による水害に対して強くはない地形となっているんだよ。また、大阪市の下水道は、計画降雨量60mm/時を対象に整備を進めているんだよ。

 

 なるほど。つい、建物の影響を先にイメージしてしまうけれども、やはり河川や水害の影響を考えてみると怖いよね。

 

 大阪市では、河川管理者等(近畿地方整備局、大阪府、大阪市)によって大雨が降った場合や南海トラフの地震による津波が発生した場合の浸水が想定されていて、想定されている水害は、河川氾濫、内水氾濫、津波の3種類があるんだ。河川水位が堤防よりも高くなった時や、堤防が決壊した時に、河川の水が流れ込む氾濫。大阪市では、淀川、大和川、東除川、神崎川、安威川、寝屋川、第二寝屋川、平野川、平野川分水路の氾濫が想定されている。内水の氾濫では街に降った雨が下水道などから排水することができず、その場にたまることなどによって発生する浸水が想定されている。内水とは、ポンプによる排水がなければ降雨を河川へ排水できない地域の雨水のことなんだよ。

 

 やはりこうして大阪市内の河川を見てみると、常に水害の想定をイメージしておかなければならないよね。

 

 そうだね、南海トラフでは、これまで100~150年の周期でマグニチュード8クラスの地震(東南海・南海地震)が発生しており、津波の来襲による浸水が想定されているんだよ。

 

 いま行政ではハザードマップを整備しているようなんだけれども、そのハザードマップについてはどうなのかな?

 

 住民が災害の恐れが高まった場合に、自らの判断で適切に避難できるよう、災害リスクの周知を前もって図っていくことが求められているんだよ。

 

 しかし博士、実際の不動産取引ではどのページを見れば良いの?

 

 不動産取引時に、取引の相手方が取引の対象となる宅地又は建物の水害リスクについて把握できるように考えているんだよ。ハザードマップには、地震、洪水、火山等様々なものがあるんだが、対象となっているのは、水害(洪水、内水、高潮)のハザードマップなんだよ。

 

 いやいや、しかし水害の何をどう説明すれば良いの?

 

 水害ハザードマップに関しては、取引の対象となる物件が存在する市町村の水害ハザードマップを提示し、当該物件の位置を示すんだ。 また、当該ハザードマップに対象となる物件周辺において想定される浸水深や避難場所の位置が記載されている場合には、あわせて確認しておく必要があるんだ。

 

 でも、相手からこうした詳細について聞かれた場合にはどうしたら良いの?

 

 うん、取引の相手方からハザードマップの詳細について問われた場合には、当該物件が存在する市町村に問い合わせるよう伝えておくこと。

 

 その他の注意事項は何があるのかな?

 

 水害の種別や各河川・沿岸において想定される浸水深等をまとめたハザードマップが作成されている場合は、それを用いて対象となる物件の位置を示すことが必要なんだ。そうしたハザードマップが作成されていない場合は、水害の種別や河川や沿岸ごとにハザードマップを提示し、対象となる物件の位置を示すんだよ。

 

 なるほど。ハザードマップの確認はこれからは絶対必要だよね。どこに位置しているのかを確認することと、周囲の状況の確認は大事なことだよね。

 

 そうなんだよ、だから君も通り一遍の知識だけでなく柔軟にいろいろな知識を身につけていかないといけないね。

 

 そうだよね。民法も改正されたことだし、これから求められているものは  繊細な知識と柔軟な対応力なんだね。

 

 もしわからないことや不安に思うようなことがあれば、早い段階で、取得する前や取得した後での不動産の相談、また専門家の相談を受けてみたり、今まさに悩んでいるという場合においても、大阪宅建協会をはじめとする相談所などで様々なアドバイスなどを聞いてみると良いかもしれないね。

 

 

 

 ライター:西本 淳一(北摂支部)