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民法改正について 〜「たけのこ掘っても柿とるな!」から「たけのこ掘って柿もとる!」に変わった?〜

2023/07/06 カテゴリー: その他

 

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ねえ博士?
たくっち、今日はどんな相談だい?
え?なんで相談だって分かったの??
たくっちがワシのところに来るときは、いつも何か困ったときじゃろ?
え?バレてた?(笑)
いやいや、いいんじゃよ。わからないことは聞くことで解決できる場合があるんじゃ。
それに今までで90回以上は相談に乗っているじゃろ?(笑)
そうだね!じゃあ遠慮なく。今日もお願いします!(笑)
で、どんな相談かな?
知り合いのAさんが、お隣りの家の柿の木の枝が塀を超えて伸びてきて困っているんだって。
お隣りの家に柿の木の枝を切るように言ってないのかい?
それが、お隣りは空き家で、連絡先がわからないみたいなんだ。
なるほど、それは困ったもんじゃな。
木の枝は勝手に切っちゃいけないんでしょ?
「たけのこ掘っても柿とるな!」って言われておって、隣地から地中から越境したものは隣地土地所有者の同意なく切り取ってもよいんじゃけど、木の枝など空中を越境しているものは、隣地土地所有者に切除してもらう必要があったんじゃよ。
え?「あった」ってことは、今は違うの?
その通り!2023年4月から民法が改正になり、木の枝については、催告しても相当な期間に隣地土地所有者が切除しない場合は、越境された土地所有者(今回はAさん)が切除することが可能になったんじゃ。
なるほど!でも、今回はお隣りの連絡先がわからないから、木の枝を切ってって言えないよ...
隣地土地所有者が不明の場合も、越境された土地所有者が切除することが可能じゃよ。「たけのこ掘っても柿とるな!」から「たけのこ掘って柿もとる!」に変わったってことじゃ。
じゃあAさんは、自分で柿の木の枝を切ってもいいってことだね。
そうじゃな。じゃが、Aさんは連絡先がわからないからって、すぐに木の枝を切るのはちとマズいぞ...
え?どうして?
Aさんは隣地土地所有者を調査する必要があるんじゃよ。まずは隣地土地の登記事項証明書や公的記録等を取得して登記名義人に対して書面等で切除の申し入れをするなどの手続きを踏むことが大事じゃな。
連絡先を調べて、それでも連絡が付かないときにAさんは木の枝を切ってもいいってことだね。
そうゆうことじゃ!
また、緊急性がある場合も切除することができるぞ。例えば台風などの災害で木が倒れて道路を塞いでいる場合などが想定されておるな。
道路が通れないと困るもんね...
人の安全を守る上でも有益な改正じゃな。
ねえ博士、他にも法律が変わったことはあるの?
民法の改正は他にもあるぞ!
次は「隣地使用権」について話すかのぅ。
(なんか難しそうな予感...)
なんじゃ?不安そうな顔をしよって...
たくっちでもわかるように説明するので心配せんでもよいぞ。
(バ、バレてる...)
今回のAさんのように、隣地土地所有者が不明のとき、隣地との境界塀や建築物が境界に隣接しておって隣地を利用しないと補修等ができなかったり、境界の調査や測量等を行う際に隣地を利用する場合、隣地土地所有者の事前の同意がないと使用や立入ができなかったんじゃが、今回の民法改正で隣地所有者の事前の同意が必要なくなったんじゃ。
え?今まではお隣りが誰のものわからないと勝手に入っちゃいけなかったの?
そうじゃ。たくっちも勝手に自分の家に知らない人が入っていたら嫌じゃろ?
そりゃそうだけど...誰もいなくて誰のものかわからないんじゃ勝手に入られても仕方ないよね?
ボールが入っても取りに行けないよ...
まさにそこが問題だったんじゃ。
隣地を使用するにも、所有者が不明で入れないのなら、例えば老朽化した塀の補修ができないじゃろ?そのために塀が倒れて他人にケガをさせると、責任は塀の所有者となる...
だれも得をしないね...
なので、今回の民法改正じゃ!
原則はあらかじめ隣地土地所有者に通知する必要があるんじゃが、隣地土地所有者が不明の場合は、隣地所有者が特定され、その所在が判明した後に遅滞なく通知することで足りるとされたんじゃ。
ていうことは、誰のものかがわかってから、その人に入りましたよって言えばいいってこと?
そういうことじゃ!
ただし、さっきの説明と同じで、隣地土地の登記事項証明書や公的記録等を取得して事前に調査する必要はあるぞ。それでも判明しない場合に限られることを覚えておくことじゃな。
なるほど...よくわかったよ!
もうひとつ、大事な民法改正があったんじゃ!
(え?まだあるの?そろそろ疲れてきちゃったよ...)
なんじゃ?疲れた顔をしよって...
大事な内容じゃから、もうちょっと辛抱せい。
(バ、バ、バレてる......)
次は「ライフライン設備の設置及び使用権」についてじゃ!
(全然わかんないや...)
前面道路に上下水道やガス等のライフラインの配管が埋設されているじゃろ?
水やガスは道路の下にあるよね。
その道路が「公衆用道路」だったたら問題ないのじゃが、私道のときが問題なんじゃ!
私道ってなに?
文字通り、個人や法人等が所有する道が「私道」じゃ。国や地方自治体が所有しているもの以外全てが「私道」じゃ。この「私道」の場合、埋設されているライフライン等を整備するときに「掘削」を行う場合は所有者全員の同意が必要だったんじゃ。
え?「だった」ってことは、今はちがうんだね?
そうじゃ!
所有者全員の同意ってのが問題なんじゃ。さっきの内容と同じで、私道部分の土地所有者が複数で、その一部が不明の場合、同意を取ることが難しいじゃろ?そうすると、掘削を行えないので、埋設管の取替や工事が行えないことになるんじゃ。
なるほど...
埋設管が老朽化すると、道路の安全や人の健康にも問題となる可能性が高いじゃろ?
古い水道管が、体に悪いものでできているとか言うよね...
そういう問題もあるな。
また、例えば水道管の場合、建替え等で自治体から引込管を太い管に入替えないと基準を満たさないと指導があっても、私道部分の所有者が複数人で、その一人が不明なため入替えが困難なとき、建替え等ができないとどうなるか想像できるじゃろ?
私道に面している土地の価値が下がるね...
それによって、不動産価値が下がり、不動産の流通が滞ることも問題じゃ。
なので、実際に利用している者に不利益にならないように民法が改正されたんじゃ。
じゃあ、さっきと同じで、誰のものか調べてわからなかったら、わかってから言えばいいってこと?
そういうことじゃ!
さっきの説明と同じで、隣地土地の登記事項証明書や公的記録等を取得して事前に調査して、それでも判明しない場合に限られるってことじゃな。
なるほど、わかったよ!
今回もためになったなー。博士ありがとう!
今回の民法改正は、これ以外にも多岐にわたるので、わからないことがあったら「不動産無料相談所」にもお気軽に相談してね。

 

 

 

 ライター: 研修インストラクター 植田 亮一(なにわ阪南支部)